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2005年9月 2日 (金)

はやり目

EKC はやり目とは、非常に感染力が強く重症になる急性ウィルス性結膜炎の俗称です。正しくは流行性角結膜炎とか咽頭結膜熱といって、殆どはアデノウィルスという風邪を起こすウィルスが原因です。このアデノウィルスには多くの型があって、そのいくつかが結膜炎を起こします。私はよく患者さんに説明するのに「眼が風邪をひいたようなものですよ」と言います。ただ、単なる風邪では済ませられないほど重症で、気をつけなければいけない病気です。
この夏休み期間中、当地方で主に保育園や幼稚園の幼児たちに「咽頭結膜熱」いわゆる「プール熱」が流行しました。風邪症状と発熱に結膜炎を伴うのですが、流行性角結膜炎もプール熱も学校伝染病に指定されているので、幼稚園・保育園や学校の生徒は出席停止になります。
保育園は出席停止になると働いているお母さん方は別に子供を預ける先を探すか、仕事を休まなければいけないので、診断してお休みしなければいけない旨をお話するのは気の毒なのですけど、他の子供たちが感染して園中大流行してしまうので仕方ありません。
夏休みが終わり、本日から学校が始まりましたが、プール熱の幼児から感染してしまった家族の方が若干いますので、小学校や中学校で流行しないと良いなあと思います。今までは夏休みでしたから良かったですが、学校の出席停止はつらいですよね。
子供たちはこのように、法律で欠席が義務付けられていますが、大人には特別に隔離するような法律がありません。でも、我々医療関係者や学校の先生などは流行させてしまう危険性を考えてはやり目になったら仕事を休んだ方が良いです。接客業などの方もお休みした方が良いのですが、こういう方にお話しても、「結膜炎ごときで仕事なんか休んだら他の人に迷惑がかかる」と拒まれてしまう事が多いです。本当はあなたが仕事に行く事の方が迷惑なんですけど、はやり目の怖さを知らないんですね。

もし、うちのような小さな診療所ではやり目の院内感染で大流行を起こしてしまったら、「あそこへいくとはやり目になる」という噂がたちまち拡がってしまいます。この手の噂は相当長い間消えないもので、勤務医の頃、とある医院がいつまでもそういう噂で言われていたのを知っています。
大学や総合病院で院内感染を起こせば、病棟閉鎖、病院長が記者会見を開いて謝罪しなければいけません。新聞に載ってしまいます。
私は幸い今まではやり目に感染したことはありませんが、大学勤務中に2回ほどはやり目の流行があって、そういう時は感染防御に不慣れな研修医がたいがい何人か感染してしまいます。もちろんお仕事はお休みで医局で雑用をやらされていました。はやり目流行中は、我々は多くの患者さんに接するので、もらってしまう可能性は高いのですね。
で、患者さんを診察する時は非常に気を使います。まず、いつもはご自分で書いてもらっている問診表は、事務の者が聞きながら代わりに書きます。視力検査などはせず、なるべく機械類に接触しないように診察のみします。患者さんを診察した後は、目に触れた自分の手指は勿論、患者さんが座った椅子、細隙灯顕微鏡の顎台や額当てをしっかりと消毒をします。受付の人間も会計時のお金などから感染する可能性があるので、必ず手指を消毒します。そのくらいしないと本当に危ないんです。眼科に新聞や雑誌が置いていないのは、このはやり目の院内感染を防ぐためです。
患者さんには、タオルや手ぬぐいの類を自分専用にして、手洗いをよくするように言いますが、いつだったか、親子3人はやり目になってしまって受診したご家族が、診察終わって帰り際に、「じゃあしっかり手を洗って帰ろうね」と言って院内のトイレで手を洗っていた事がありました。うーん、悪くはないことなんですけどねえ、その後、トイレのドアの取っ手と洗面所付近はしっかり消毒させていただきました(^_^;)。まあ、そのくらい我々眼科医は恐れている病気なんです。
そう思って見ないと気づかないのですが、当院は入り口は勿論自動ドア、土足のままでスリッパなどには履き替えず、検査室入り口にドアはなく、診察室の入り口もドアではなくカーテンで、取っ手などありませんので、患者さんがどこにも触れずに診察室まで入ってくる事ができるようになっています。トイレだけはどうしてもドアなしという訳にはいきませんけど(^_^;)

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